2016.05.23

青空と廃墟

先日、ソラシドエアにのって
九州に行ったことは書きましたが、
その目的のひとつが軍艦島(正式名称/端島)に
上陸することでした。
 
軍艦島はかつて炭鉱の島として栄えた島で、
最盛期の人口は5200人と、
東京の9倍もの人口密度だったそうです。
 
1974年に閉山してからは
無人島になってしまいましたが、
当時はスナック、映画館、病院、学校、
寺院・神社、派出所、
映画館、理髪店などがあったそう。
「なかったのは墓場と火葬場だけ」と
言われていたことからも
当時の繁栄が想像できますね。
 
軍艦島の名前を初めて聞いたのは学生時代でした。
プロカメラマンを目指していた友人が
「今度、写真を撮りに行ってくる」と言っていたのです。
その後、実際に行ったのかどうかは覚えていなのですが、
とにかくそのとき聞いた「軍艦島」という
言葉の響きに妙な興奮(?)を覚えました。
 
いまは世界遺産に登録され、
ツアーであれば上陸可能になったんですが、
あのときの彼はどうやって島に行ったんでしょうね。
今度会ったときに聞いてみようかな。
 
また、僕は手塚治虫の
「ブラックジャック」の大ファンなのですが、
その112話に「望郷」というタイトルで
軍艦島が猫生島(通称・要塞島)という
名称で登場しているんです。
 
軍艦島は炭鉱閉山により無人島になりましたが、
こちらは公害問題によって
人が住めなくなったという設定。
そして、その島に望郷の念を抱く
少年とブラックジャックの物語が描かれているんです。
 
これを初めて読んだときに
「故郷に住めなくなる」というのは
一体どんな気持ちなのだろう、と
地元の岡山や家族に想いを馳せた記憶があります。
 

さて、前置きが長くなってしまいましたが
「軍艦島上陸ツアー」に参加したときのことを。
まずは写真を見ていただいた方が雰囲気がつかめるかと。
 
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透き通った青空と潮風がそよぐなか
今にも朽ち果てそうなコンクリートの
建築物がそびえ立つという不思議な構図が
広がっていました。
たとえるなら北斗の拳に出てくるような
世紀末の世界観といったところでしょうか。
 
人が作ったものなのに、人の気配はゼロ。
どれだけ想像力を働かせても
かつての賑わいが
まったくイメージできませんでした。
いわゆる「廃墟」は
どこかにヒトの匂いや足跡を感じるんですが、
そんな気配すらないんです。
 
軍艦島が閉山になった理由は、
石炭が枯渇したからではなく、
政府のエネルギー政策が変更したからとのこと。
 
具体的には、石油が主流になり
石炭は輸入した方が安い時代に
移り変わっていったのです。
ガイドさんの話によれば、あと100年ぶんの石炭が
この島の下には眠っているそう。
 
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日本の繁栄を長きにわたって
支え続けた「軍艦島」こと端島。
自分にとって縁も所縁もない土地でしたが、
何か心に訴えかけてくるものがありました。