2017.04.28

半世紀

今日のブログはいつにもまして私的だ。
いや、そもそもブログは私的なものだからよしとしましょう。
 
さて、オフィスから徒歩5分ぐらいのところに
「都せんべい」というお煎餅屋さんがあるのだが、
そこが4月一杯で閉店になると聞いてびっくりした。
その日は打合せが詰まっていたので、
終わり次第、お店にBダッシュで駆け込んだ。
 
昔ながらのパッケージと、
まざりけのないピュアな味が好きだった。
 
子どもたちとお散歩がてら
よくこのお店でお煎餅を買って公園で食べた。
小腹がすくと、仕事の合間を縫って
ここでお煎餅を買ったりした。
会社設立パーティのときに来てくれた皆さんに
お土産として配ったのもここのお煎餅だった。
 
お煎餅を買いに行くと、
そこにはいつもおばちゃんの笑顔があった。
この町のこと、
商売をしていく大変さ、
子育てのこと。
おばちゃんとは買い物の合間の
短い時間だったけど色んな話をした。
子どもを連れていくと
いつも笑顔で迎え入れてくれたのも
おばちゃんだった。
 
創業50年。
苦渋の決断だったのだと思う。
おばちゃんはそれすら笑いとばしていたけれど。
 
今日は、多めに煎餅を買った。
「ほら、子どもたちに持っていきな」と
シレッとおまけをつけてくれる
いつものやりとりもこれで最後だ。
 
「写真撮らせてもらってもいい?」
というと、
「あら、お化粧してきた方がいいかしら?」
とおばちゃんはいつも以上ににこやかに笑ってくれた。
 
またひとつ、この町からぬくもりが消えていく。
必要なものが残り、
不要なものは消えていく。
これが世の常であったとしても、
何もできない自分がもどかしい。
 
1枚ずつ、大切にいただこう。
お店は閉店してしまうけれど、
この味はずっと忘れないよ。