2025.07.29

中央アジアへ

ちょっと…いやだいぶ間が空いてしまったんですが、先月中央アジアに行ったときのことを少し書いておきます。訪れたのはカザフスタンとキルギスです。
 
すでにこの時点で「中央アジアってどこ?」「カザフスタン? キルギスって?」という声があちこちから聞こえてきそう…というか実際に私自身も行くまで分かっていなかったですし、帰国してからもその質問を浴びるほどうけたのでまずは場所のリンクをはっておきます。カザフスタンはここ、キルギスはここです。ちなみにキルギスはRIZINのフェザー級チャンピオンのラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手の出身国であることぐらいしか知りませんでした。
 
カザフスタン/キルギスへの旅は、美術史学者で、林原美術館館長や山陽学園大学教授を務める谷一 尚たにいち たかしさんに声をかけていただき実現しました。旅の目的は、谷一さんが研究されているシルクロードを巡るというもので約1週間ほどの旅程です。これまで一度も行ったこともない、見たこともない、なんなら行ってみようと候補にもあがったことのない土地に行けるご縁ができたのは非常にうれしいものです。ちなみに谷一さんは「開運!なんでも鑑定団」で鑑定士もやっているのでご存じの方が多いかもしれませんね。
 
旅の内容をすべて記述すると膨大な文章量になってしまうので、スマホで撮影した写真のなかから現地の雰囲気が伝わりそうなものをいくつか紹介するとともに、印象に残ったことを箇条書きにしておきたいと思います。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 
・キルギスに行くまで
今回の旅はあくまでキルギスがメイン。直行便はないので、成田→羽田→カザフスタン→そこから陸路で国境を越えてキルギスに入国。空路だけでキルギスにもいけるようですが、かかる時間とお金を考えると、日本人にはまあまあハードルが高いです。
 
・カザフスタンという国
なんとなく治安が悪そう…というイメージがあり、実際に友人からも同じ質問を多数されましたがまったくそんなことはなかったです。「~スタン」という名前がついているだけで中東の、それも紛争や略奪といったイメージを持つ人が多く、さらにイスラム教徒が多いという事実がそれを助長しているように感じました。ただ、イスラム教徒といっても過激な方たちは全体のほんのごくごく一部にしか過ぎず、ほとんどの人がそれぞれの考えと距離感でイスラム教を信仰しているようです。なんでも十把一絡げしてはダメですね。また、ガイドのツキちゃん(私がつけたあだ名です)いわく、カザフスタンは石油原産国でもあるらしく、国としては非常に裕福とのこと。たしかにUCIワールドチーム「XDS・アスタナ チーム」を持っていたり、自動車メーカー「アスタナモータース」や航空会社「エア・アスタナ」があったりしますもんね。ちなみにカザフスタンで有名なチェーン系カフェ「capito」に働いている女性に話しかけたところ「初めて日本人にあいました!」と言われたり、「日本の方ですか? 一緒に写真を撮ってください」と言われたことも。後者に関しては東南アジアによくいる「面倒なモノウリか?」と思ったんですが、純粋に日本人が珍しかったようです。疑ってすみません。
 
・キルギス
いっぽうでキルギスは、世界的に見ればまだまだ貧しい国のようです。今回は地方都市や遺跡を巡ったのですが、舗装が追い付いていないエリアが多数あり(個人的にはグラベル天国じゃん! とテンションがあがっていましたが笑)、北海道や九州の阿蘇のような広大な景色があちこちに広がっていました。とはいえ首都のビシュケクはクルマの大渋滞がおこっていて、超がつくほど牧歌的な地方都市とのコントラストがかなり激しかったです。途中で泊まった宿は「町全体が停電」になりしばらく何もできないなど、生活のインフラもまだまだ脆弱な印象。資本主義的考えでは豊かではないのかもしれませんが、いっぽうで皆さんのんびりと暮らしていらっしゃる感じがして、人もやさしく笑顔があふれていました。「豊かさ」ってなんなんでしょうね。
 
・日本人と同じルーツ
キルギスは日本人に似た顔の人がいるという事前情報があったのですが、その言葉通り「祖先は同じモンゴロイドなのだな」と感じることが多々ありました。ただ島国の日本と異なり、キルギスは国境が地続き。キルギス人とひとくくりにしても、ヨーロッパ、ロシア、中国と色んな血が混ざっていて、見た目だけではわからないことも多かったです。
 
・国境越え
カザフスタンからキルギスに渡るには当然ながら国境を越えなければいけません。ヨーロッパに住む方からすれば国境を超えるなんて日常茶飯事かもしれませんが、島国生まれ、島国育ちの私からすると非日常の体験です。過去にアメリカ→メキシコ(クルマ)、中国→モンゴル(電車)、ポルトガル→スペイン(モーターサイクル)と3回国境を越えましたが(ちなみにドイツのアーヘンにいったとき、オランダ、ベルギーの国境がまじわるここにもいきましたが)、歩いての国境越えは今回が初めてでした。国境付近には野良猫が数匹いたんですが、彼らにはそもそも国境という概念すらないんだよなーなんてことを思いました。
 
・いま、どこにいる?
前述した通り、キルギスの地方都市に行くと、北海道や九州のような大自然がどこまでも続いています。とおもいきや、アメリカのように地平線まで続くような道があったり…。「キルギスといえばこれ!」みたいなのがあまりないので、「今どこにいるんだろう?」と感じてしまうこともしばしば。それぐらい自然が雄大でした。
 
・キルギスは自然のアクティビティが豊富
今回は遺跡や美術館といった場所を巡るのが主でしたが、実は登山をはじめとするアウトドアアクティビティが豊富だそうです。世界的に見ればそこまで注目されていないようなので、今なら手付かずの自然が楽しめる…のかもしれません。未舗装路があちこちにあるので、グラベルロードを持っていくとかなり楽しめそうです。
 
・キルギスの食事
どの料理でも美味しくいただけたので、食に関するストレスはほぼなし。トイレ事情は都市部は問題ないですが、国道沿いのエリアにいくと水洗すらないところも。ちなみにトイレットペーパーは便器に流すのはNG。横に置かれているゴミ箱にいれるのがキルギス流です(たしか中国もそうだった)。
 
・モビリティ
乗り物好きとしてはやはりその国のモビリティ事情は気になるもの。↑にアップした写真にもありますが、キルギスは旧ソ連の国だったので田舎の方に行くと現役で走るLADAをあちこちで見かけました。そのほか都市部では中国系メーカーの電気自動車をたくさんみました。いっぽうでモーターサイクルはもちろんロードバイクをはじめとするスポーツ自転車は、ほとんど見かけませんでした。
 
今回は移動が多かったためそれぞれの都市であまりゆっくりできませんでしたが、もし次回訪問する機会があるならローカルでまったりと過ごしてみたいもの。キルギスはどちらかというと、「ガツン!」とした即効性の高い刺激やカルチャーショックがあるのではなく、時間が経つにつれて良さがじんわりとしみ出してくる国のような気がしたので。
 
なんだかんだでそこそこの文字ボリュームになってしまいましたが、カザフスタン・キルギスレポートでした。

(栗山)