2025.10.28

コンテナホテルで考えた
群馬県太田市に、自動車メーカーが製品開発に利用する最新鋭のドライビングシミュレーター施設があります。先日そこへ取材に行く機会に恵まれたのですが、現地の集合時間が朝9時。早朝5時起きでクルマを走らせて行くのは気が乗らなかったので、現場近くにサクッと泊まれる寝床を確保して前乗りすることにしました。
繁華街にあるビジホでもよかったのですが、今回はあえて以前から気になっていたホテルに泊まることに。それが「HOTEL R9 The Yard」。最近地方で増えているコンテナ型のホテルです。

部屋はこんな感じでいたって普通のシングルルーム。ユニットバス&トイレも各部屋にあってそっちもキレイ。1部屋=1コンテナなので隣室の音や声もさほど気にならない。これで5,000円払ってお釣りが来るんですから、当日朝の慌ただしさから解放されるだけで十分に元を取れた気がします。
よく見るとコンテナごとにタイヤとナンバープレートが付いていたので、厳密には建物ではなく移動可能な車両という扱いのようです。きっと何かしら営業上のメリットがあるんでしょう(詳しい法律は分かりませんが、不動産取得税とか固定資産税がかからない、みたいな)。


コンテナホテルで過ごしながら思い出したことがありました。こうしたコンテナの活用実績として有名なものがこの国にはあると。それが、初期のカラオケボックスです。実は1985年に岡山県で誕生した日本初のカラオケボックスは、船舶貨物用コンテナを流用したものだと言われています。その後、民営化した国鉄から払い下げられた中古の貨物コンテナが続々とカラオケボックスに生まれ変わり、各地で営業していたそう。やがて個室でのカラオケ体験が一般化するにつれ(それ以前はスナックや飲み屋など人前で歌うものでした)、現在のように建物内に個室を作って営業するスタイルが定着していったのだとか。
物置や倉庫に転用するくらいならわかりますが、コンテナの中に人を入れて活用するというのは、土地が少ない(高い)日本ならでは発想ではないでしょうか……そんなことを考えていたら、いつの間にかぐっすり入眠。おかげで翌日の取材も朝からバッチリうまくいった、というワケです。
シンプルで居心地もなかなかのコンテナホテル、みなさんも出張の際にぜひ。
(高山)
